elmo開発者、瀧澤誠さんインタビュー
――今回、一番力を入れたことは?
瀧澤「定跡の作成というところですね。今回コンセプトとして「定跡が勝つ上でより有効な手段」と認識していて、それを示したいなと思って、かなりの時間をかけて定跡の作成をしていました。今回、大会の中でその優位性をあまり示せなかったのは残念だったんですが、今回作った定跡に関しては公開してブラッシュアップを進めていきたいと思っています」
――初手▲5八金といった手にも対応されていました。かなりの変化が入っているということなんでしょうか?
瀧澤「そういう意味ではあまり広くはないです。ただ、定跡を外してくるっていうところは想定に入っていて。初手と2手目に関してはだいたいどのような手を指されても、なんらかの定跡として反応するような状況になっています」
――この定跡の作成にはどれぐらいのお時間がかかったんでしょうか?
瀧澤「だいたい休日は定跡を作っていたというのが(昨年の)6月、7月ぐらいから年末年始ぐらいまで。休日はほとんど作ってました」
――うわっ!(Zoom参加者一同びっくりした表情)
瀧澤「実際対局した棋譜を生成して、それを見ながら定跡としてどう採用していくかっていうのも、そこは手動でやるところでして。そこにすごく時間がかかった。これからは自動化していこうと思うんですが。いい勉強になりました」
――全部コンピュータ任せってことではなくて、かなり人間の手が入っているということなんですね?
瀧澤「そうですね。一通り対局したグラフは全部見ていて。たぶん1万局ぐらい」
――おお・・・。今回使用したハードウェアはどういったものだったんでしょうか?
瀧澤「AWSのC5のメタルですね。vCPUが96あるもの、1台だけです」
――優勝賞金のドスパラポイント50万円相当(株式会社サードウェーブ提供)は何に使われますか?
瀧澤「まさか優勝すると思ってなかったんで、正直、何も考えてなかったです。50万ポイントもあると、高いCPUか高いGPUか、どっちかかな、と考えています」
――優勝したということで、ドスパラさんの方からおそらくソフトを乗せてくれという話しの交渉(優勝ソフト等を搭載したPCの商品化についての相談)があると思うんですが、それに対してはどういう応答をする予定でしょうか?
瀧澤「それは『elmoでよければ是非』っていう感じです」
――2017年に初優勝し、今回2度目の優勝をされましたけれども、今後はどのような目標を持って開発に臨まれますか?
瀧澤「正直言うと『そろそろ引退かな』と思った節があったんですけど、優勝してしまったというところもありますし、定跡作成するっていうところがちょっと中途半端な状態なので、そこを作っていきたいというのがまずあるところ。あとはディープラーニング系もちょっとやりたいなと思っているところがあってですね。どっちの方向に行くか。とりあえず定跡の生成、手動でやってるところを自動化して、誰でもアクセスできるようなところに定跡を置いていきたいなと考えてて。それを使って将棋の学習とか、ちょっと使えるかどうかわかんないですけど、そういうことができればいいなと考えています」
――(ディープラーニング勢の台頭もあって)「NNUEは終わった」という声もどこかから聞かれましたが、終わってませんか?
瀧澤「そうですね、まだ大丈夫だと思います(笑)」
――7月開催予定の電竜戦に参加の予定はありますか?
瀧澤「はい、出場したいと思います。よろしくお願いします」
――本大会では今回2度目の優勝。3度目、4度目と優勝回数を増やしていく意気込みはありますか?
瀧澤「そうですね(笑)。今回、ドスパラ様から50万ポイントいただけるということですし、いいなと思ったので、次回も優勝できるようにがんばっていきたいと思います」
――来年もぜひ期待しています。ありがとうございました。
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